自分の感情を表現しない人

これまで、心身症というものを大ざっぱに見てきましたが、概して自分の感情を表現しない人、自分のストレスと病気の関係にまったく気づいていない人、さらに完全癖であること、あるいは過度に競争心が強いこと、潔癖症といった性格、また逆に非常に依存的な性格、甘えが強い性格といったものが、心身症と深く関わっているということができるでしょう。このような病気は、通常は内科で治療を受けるのですが、単に内科的な治療を受けるだけでは充分に治すことはできません。ストレスのありかをはっきりさせることと、性格傾向との関係を少しでも明らかにすることができれば、このような心身症の慢性化や、再発を防ぐことができると思います。

 

 

 

薬物療法は、現在の精神科医療においては欠かせないものです。 一九五〇年くらいまでは、精神病院は病院というよりも収容所に近い雰囲気でした。これはアメリカにおいても、ョーロッパにおいても似たようなものでした。しかし、抗精神病薬、抗うつ薬の発見が精神病院の雰囲気を一変させました。つまり、収容所から現代的な病院としでの形式をとることが可能になったのです。今では分裂病の患者さんでも、いかにも「精神病」であるといった風情で来ることはまれになりました。うつ病の患者さんは、外来レベルでよくなっていくこどが圧倒的です。さらに、不安障害や身体現性障害で入院しなければならないレベルの人はめったにいません。こういうふうに精神科の薬物の効果は、精神科の医療を大きく変化させたのです。まず、精神科で使用する薬物をおおまかに分類しておきます。抗精神病薬、抗躁剤、抗うつ剤、抗不安剤と四つに大きく分けられます。さらにつけ加えると、てんかんには抗てんかん剤があります。

 

抗精神病薬は従来、メジャートランキライザーといわれているものです。これはとくに、幻党・妄想をもつ分裂病の患者さんに用います。クロールプロマジンは抗精神病薬として一九四九年に発見され、 一九五〇年代から急速に世界各国に広がっていきました。この薬は、今もって分裂病の中心的な薬です。

 

 

抗精神病薬では、抗幻党・妄想作用の一番強いハロペリドール(セレネース)があります。これは鎮静作用はそれほど強くはありません。他方、鎮静作用がきわめて強いものにレポメプロマシン(ヒルナミン)があります。クロールプロマジンはこの中間にあります。つまリクロールプロマジンは抗幻覚。妄想作用も中等度であり、なおかつ鎮静作用も中等度です。このような抗精神病薬の鎮静作用は、飲んで数十分ないし一時間後に効果が出ます。しかし、抗幻覚・妄想作用は効果が出てくるには早くて二週間、遅いと二、三か月という長い経過をたなければなりません。